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INTRODUCTION

「レ・ミゼラブル」の舞台となった街で、今なお繰り返される悲劇の連鎖。
現代社会の闇をリアルに描く、衝撃の問題作!!
世界各地で暴動やデモが頻発している昨今、もはや日本も他人事ではいられない時代を迎えている。“引き金”となるのは、人々のなかに生まれる社会や政治に対する鬱屈した感情。そんな現代が抱える闇をリアルに描き、まさに「世界の縮図」ともいえる衝撃作が誕生した。海外主要メディアからの高い評価を引っ提げて、ついに日本での公開を迎える。

犯罪防止班に新たに配属された警官のステファンと同僚たちが、ある少年の引き起こした些細な事件をきっかけに、やがて取り返しのつかない事態へと陥っていく様を、緊張感あふれる描写で描いた本作。第72回カンヌ国際映画祭でセンセーションを巻き起こすと、「コンペ最大のショック!」「クロワゼットを震撼させた未確認物体!」と称賛を受け、ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』と並んでパルムドールを競い、審査員賞に輝いた。各国の映画祭でも数々の賞を獲得し、第92回アカデミー賞®国際長編映画賞(旧名称:外国語映画賞)ではフランス代表にも選出、ゴールデン・グローブ賞の外国語映画賞にもノミネートされている。

舞台となるのは、ヴィクトル・ユゴーの傑作「レ・ミゼラブル」で知られているモンフェルメイユ。現在は、パリ郊外の犯罪多発地区の一部とされており、我々が思い描く“花の都”パリのイメージはそこには存在しない。あるのは、権力者によって抑圧されている弱者と社会で居場所を失った人々の姿。まさに、“ミゼラブル(悲惨)”な世界の現状を反映しているといえる。
監督・脚本を務めたのは、本作が初長編作品となる、フランスの新鋭ラジ・リ監督。モンフェルメイユで生まれ育ち、現在もその地に暮らす監督自身の体験を基に、現代社会に潜む問題を圧倒的な緊迫感とスタイリッシュな映像で見事に描き切っている。スパイク・リーもアメリカにおけるプロモーションのサポートを買って出るほどその才能を認めており、今後の映画界において目が離せない存在となることは間違いないだろう。さらに、アーティストとしての一面も持っており、ストリート・アーティストJRと共同でプロジェクトを発表するなど、活躍の場は幅広い。

2019年11月20日に本国フランスでの公開を迎えた本作は、初日動員数7万人を超え、週末ランキングは『アナと雪の女王2』に次ぐ、第2位となる大ヒットスタートを記録。また、フランスのマクロン大統領も、本作を鑑賞。自国が抱える問題をリアルに描いた本作に反応し、政府に「映画の舞台となった地域の生活条件を改善するためのアイデアを直ちに見つけて行動を起こす」よう求めたという。

ラスト30分の緊迫感。そして衝撃のラストシーンは、私たちに何を問いかけるのか!?もはや、他人事と傍観していることはできない……。



STORY

パリ郊外に位置するモンフェルメイユ。ヴィクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」の舞台でもあるこの街は、いまや移民や低所得者が多く住む危険な犯罪地域と化していた。犯罪防止班に新しく加わることになった警官のステファンは、仲間と共にパトロールをするうちに、複数のグループ同士が緊張関係にあることを察知する。そんなある日、イッサという名の少年が引き起こした些細な出来事が大きな騒動へと発展。事件解決へと奮闘するステファンたちだが、事態は取り返しのつかない方向へと進み始めることに……。

DIRECTOR

本作で描かれているすべてが実際に起きたことに基づいています。
ワールドカップ勝利の歓喜はもちろん、地域に新しい警官が来た時のこと、ドローン、盗まれたライオンまですべてです。
この地域の素晴らしい多様性を見せたかったんです。私は今もここに住んでいます。
これが私の生活であり、ここで撮影することが大好きなんです。 ―― ラジ・リ
監督・脚本 ラジ・リ

Ladj Ly 
フランス、モンフェルメイユ(セーヌ=サン=ドニ県)出身。役者として、また、1995年に彼の幼少期からの友人であるキム・シャピロンとロマン・ガヴラスが起こしたアーティスト集団Kourtrajméのメンバーとしてキャリアを始める。1997年、初の短編映画『Montfermeil Les Bosquets(原題)』を監督、2004年にはドキュメンタリー『28 Millimeters(原題)』の脚本を、クリシー、モンフェルメイユ、パリの街の壁に巨大な写真を貼ったことで有名になった写真家JR(ジェイアール)と共同で手がける。2005年のパリ暴動以降、クリシー=ス=ボワの変電所に隠れていたジエド・ベンナとブーナ・トラオレという2人の若者の死に衝撃を受け、1年間自分の住む街を撮影することを決意、ドキュメンタリー『365 Days in Clichy-Montfermeil(原題)』(2007)を制作する。その後もドキュメンタリーを撮り続け、2014年には市民軍とトゥアレグ人が戦争を始めようとしている地域にスポットを当てた『365 Days In Mali(原題)』を、2016年には、NGO団体マックス・ハーフェラール・フランスの広告『Marakani in Mali(原題)』を監督する。2017年、初めての短編映画『Les Misérables(原題)』を監督し、2018年セザール賞にノミネート、クレルモンフェラン国際短編映画祭にて受賞。同年、監督・脚本家のステファン・デ・フレイタスと共同で『A Voix Haute(原題)』を監督し、再びセザール賞にノミネートされる。本作はラジ・リ監督にとって初の長編映画であり、その同名短編映画にインスパイアされたものである。

CAST

ダミアン・ボナール
Damien Bonnard as ステファン
『ハートブレイカー』のパスカル・ショメイユ監督、ダイアン・クルーガー主演の『バツイチは恋のはじまり』(12)、クリストファー・ノーラン監督『ダンケルク』 (17)、 2019年東京国際映画祭で最優秀女優賞と観客賞を受賞した『ハリー、見知らぬ友人』(00)のD・モル監督新作『動物だけが知っている』など数々の映画やTVシリーズに出演。
アレクシス・マネンティ
Alexis Manenti as クリス
フレッド・カバイエ監督『友よ、さらばと言おう』(14)や、サマンサ・モートン主演のクライムアクション『The Last Panthers(原題)』 (TVシリーズ/15)、ロマン・デュリスとオルガ・キュリレンコが共演したフランス製サバイバルスリラー『ザ・ミスト』(18)などに出演。ラジ・リ監督が立ち上げたアーティスト集団Kourtrajméのメンバーでもあり、監督とは古くからの付き合い。本作では“脚本”にもクレジットされている。
ジェブリル・ゾンガ
Djebril Zonga as グワダ
モデルとして活躍しながら、ドキュメンタリー『One, Two, Three, Nawell Madani!(原題)』(19)をプロデュースしたり、役者として『C'est tout pour moi(原題)』(17) に出演している。本作には自ら監督に連絡をし、オーデションを経て出演が決定した。
ジャンヌ・バリバール
Jeanne Balibar as 警察署長
アルノー・デプレシャン、オリヴィエ・アサイヤス、ジャン=クロード・ビエット、マチュー・アマルリック、ブノワ・ジャコ、ジャック・リヴェット、ラウル・ルイスなど数々の名匠の作品に出演するフランスを代表する女優のひとり。近年の出演者作は『バルバラ セーヌの黒いバラ』(17)、『COLD WAR あの歌、2つの心』(18)、『何も変えてはならない』(9)など。